古都奈良の古本屋 智林堂書店のブログです。店主代理が綴る、本と人との一期一会な日々♪      近鉄奈良駅から徒歩5分ほど、もちいどの商店街内。不定休。11時から18時半頃。0742-24-2544


by nara-chirindo
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さよなら日吉館

かつて、奈良を訪れる若き文人や、その卵たちに愛された名物旅館。
その日吉館について書いたのは2年前のことでした。
奈良に住む者ならたびたび通る道沿いの建物。
国立博物館の、道路をはさんで北側です。
そこに日吉館があることは、普段は意識していなくても、すでに当たり前のように思っていました。

昨日の朝日新聞夕刊の記事を目にして衝撃。
明日22日(月)からとうとう取り壊し工事が始まるのだとか。
またひとつ、ふるきよき奈良が失われてしまうのですね。
在りし日の姿を見られるのは今日で最後かと思うと、いてもたってもいられず。
店番前に寄り道して名残を惜しんできました。
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正面から見ると屋根が波打っていますね。穴もあいてます。
創業は1914年。
今から11年前に女将の田村キヨノさんが亡くなって以来、朽ちるにまかせられた古建築。
このままの形を残すのは難しいとしても、何とか他に活かす道はなかったのか。
県か市が買い取って、日吉館の精神を受け継いだ安宿を作るとか。
今さら詮無いことではありますが・・。
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東を向いたこの窓から、若草山や高円山はきれいに見えたのでしょうか。
貧乏学生たちが雑魚寝しながら、どんな夢を熱く語り合ったのでしょう。
床が傾いていたとか、朝目覚めると屋根の隙間から青空が見えたとか、高級旅館ではありえないエピソードがたくさんあるそうです。
それでも、ここでなければと。
志賀直哉、會津八一、亀井勝一郎、和辻哲郎、堀辰雄、小林秀雄、土門拳、水原秋桜子、平山郁夫・・。
そうそうたる顔ぶれが奈良の定宿として愛した日吉館。
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見納めです。
私の他にも、写真を撮ったりスケッチをされているかたが何人か。
お互い言葉は交わさなくとも、日吉館を悼む気持ちは同じ。
目礼しあって、その場をあとにしました。

明日は日吉館ゆかりの人々の著作をご紹介します。
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by nara-chirindo | 2009-06-21 22:32 | 奈良