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古都奈良の古本屋 智林堂書店のブログです。店主代理が綴る、本と人との一期一会な日々♪      近鉄奈良駅から徒歩5分ほど、もちいどの商店街内。不定休。11時から18時半頃。0742-24-2544


by nara-chirindo
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『鹿男あをによし』

遅まきながら、高の原駅前にオープンしたイオンに行ってきました。
広すぎでした。
どうもああいう空間は苦手で、頭が痛くなってきます。
あれだけ物があふれているのに、欲しいと思う物がひとつもないとは。
結局本屋さんにだけよって早々と退散しました。
今日購入した本はこちら。
『鹿男あをによし』_d0105133_2147537.jpg

『鹿男あをによし』 万城目学著

奈良人としては読んでおかねば、と思ってたんです。
いろいろ前評判も聞いていましたし。

・・しかし。
今日はちょっと辛口トークしてもいいですか・・?
万城目学さんのファンの方は不愉快な思いをされるかもしれませんので、ここから下はどうぞ読み飛ばしてください。

結論から言えば、期待はずれでした。

「マイシカ」のくだりとか、面白いところもあります。
剣道の場面も白熱してます。
歴史的なあれやこれやを絡ませたストーリーもまあわからないではないとして。

めちゃくちゃ違和感を感じてしまう最大の原因。
なぜ登場人物が揃いも揃って標準語を話すのか?
主人公は別として、下宿先のおばあさん、同僚の高校教師、女子高生達。
皆奈良の人って設定ですよね?
「〜かい?」「〜だってわけよ」「〜じゃないよ」ってそれおかしいでしょう!
作者は大阪出身の京大卒なんだから、自然な関西弁を書けるはずなのに。

そして飛火野に「とぶひの」とルビが振ってあったり。
紀寺町の家から近鉄奈良駅に向かうとき、春日大社の敷地を通るってどういうこと?
それは地元民にはありえないルート。

そういったいちいちが気になって気になって。
徹底的に奈良を取材して書いたとはとても思えないです。
ディテールがおろそかな結果、話自体のリアリティーも損なわれているような。
ところどころに良い描写もあるだけに、残念だな〜。

本当に奈良を描ききった小説といえば何でしょうね。
もしかして、あるようでないんでしょうかね。
ご存知の方はぜひ教えてくださいまし。
by nara-chirindo | 2007-06-01 22:50 | 私物本